訴訟部門の月次研究会と消滅時効の研修へ

相続・遺言・遺産分割 税・お金

月曜は、日本税務会計学会の月次研究会へ。 テーマは中央出版事件です。

写真

論点はいくつもありますが、一番のポイントは
日本の住所や国籍を持たない孫が、国外財産の贈与を受けたときに、日本の贈与税を課税できるか」
平成25年の税制改正「前」は、税務上は本来、課税できませんでした。

地裁(H23.3.24)では納税者が勝訴したものの、 高裁(H25.4.3) では逆転敗訴し
(最高裁は上告不受理だとのこと)
生後8か月の乳児である孫の住所は、養育者である両親の住所(日本だった)も考慮すべきだと
指摘されています。

この事案を契機として、平成25年4月1日からは、もらう人の住所の内外や国籍を問わず
あげた人の住所が国内にある限り、国外の財産をもらった場合でも
日本の相続税や贈与税からは、逃れられないという改正が行われました。

また火曜は、勉強家の友人税理士、益田あゆみ先生のお誘いで、「消滅時効」の研修会へ。
弁護士さんが税理士向けに、時効の基礎からケーススタディまで、詳しく話して下さいました。

物販の売掛金の時効は2年、飲食の債権は1年と、かなり短いので
自分のお客様が、時効により売掛金を回収できない事態にならぬよう、気をつけなければなりません。

「相手に請求書を送っていれば、時効は進行しない」と思いがちですが
請求書を送る行為は、民法上、時効が中断する「請求」にはあたらず、時効は中断しない!のです。
※裁判所へ訴訟の提起や支払い督促の申立てが、民法上の「請求」にあたります。

主債務者と連帯債務者の関係など、マメ知識をたくさん頂きました。

それにしても・・・学べば学ぶほど、理想の知識レベルと現実との乖離に、落ち込みます。
乖離がなくなることは、おそらく一生ないのだけれど。

ニフティのマネーコラムで、FPの高山一恵さんの取材を受けました。
同年代なので、和気あいあい、とても楽しかったです♪

無題

-相続・遺言・遺産分割, 税・お金

関連記事

相続税申告書の添付書類、戸籍のコピーや法定相続情報一覧図の写しでもOKに

平成30年4月1日以後に提出する相続税の申告書から、添付書類の範囲が広がりました。 【改正前】 戸籍の原本 【改正後】 以下の1~3のいずれか 1.戸籍の原本 2.法定相続情報一覧図の写し 3.1また …

併用OKです。地積規模の大きな宅地と小規模宅地等の特例

平成30年1月1日以後の相続からスタートしている「地積規模の大きな宅地の評価」は「小規模宅地等の特例」と併用できます。従来の広大地と同じです。併用OKです。広大地と小規模宅地等の特例/Living P …

忘れがちな不動産取得税。相続税・贈与税がかからない時ほど注意

弁護士さんから、「相続って不動産取得税は非課税だと思ってたのですが」という電話がありました。 都税事務所から、不動産取得税がかかるという連絡がきたと 相続案件のお客様から連絡があったとのこと。 &nb …

土地の値段にもいろいろある。公示地価・基準地価・路線価とは

先日「基準地価」が公表されました。 といっても、公的な土地の価額にはいろいろなものがあり、専門家以外には分かりにくもの。 違いを簡単にまとめてみました。 目次1 いろいろな土地の値段があるのはなぜ?目 …

「生前贈与がダメになる」は誤解。でも節税目的の生前贈与はしにくくなる

「生前贈与がダメになる」と言われても 何がどう変わるのか、正しくわかっている方は少ないようです。 ざっくり言えば、生前贈与ができなくなるわけではなく 「相続税の節税目的での生前贈与がしにくくなりそう」 …