タクトコンサルティングの本郷会長から、ご著書の「資産税コンサル、一生道半ば」を頂きました。
この本で本郷会長は「人の心に寄り添うことこそ、資産税の仕事の真髄」とおっしゃっていました。
(※資産税とは、相続や贈与、不動産や株式などの売買にかかる税のこと)
税理士の仕事は、今後、AIに代替され、なくなっていくといわれています。
また、税理士に限らず、今ある職業の半数がAIに代替され、なくなるという研究結果もあります。
果たしてAIは「人の心に寄り添う仕事」ができるのでしょうか。
目次
AIで消える仕事=税理士?
ここ数年、「AIで消える仕事=税理士・会計士」という記事を、雑誌などでたびたび目にするようになりました。
これは、オックスフォード大学の研究データで、代替可能性の高い職種リストの中に「税務申告代行者」や「会計監査係員」が入っていたからです。
ベストセラーになっているこの本にも同じ研究データが載っていて、「AI化によって10~20年後になくなる職業トップ25」の第8位に「税務申告代行者」が入っていました。
でも、この世から消える職業は「税務申告を代行する人」、つまり、ただ単に記帳代行や税務申告の仕事をする人、です。
税や周辺知識に関して正しい知識と経験を持ち、世の中の人々をサポートできる「税理士」へのニーズがなくなるわけではありません。
資産税の業務はAIに代替されにくい
AI化で残る職業
また、この研究データでは「AI化が進んでも10~20年後まで残る職業トップ25」も挙げていて、ソーシャルワーカーやカウンセラー、コーディネーターといった用語を含む職業が、多く含まれていました。
AI本ではAIについて
AIはコンピューターであり、コンピューターは計算機であり、計算機は計算しかできない。
AIがコンピューター上で実現されるソフトウエアである限り、人間の知的活動の全てが数式で表現できなければ、AIが人間に取って代わることはありません。
つまり、AIは
・ 計算しかできないので、すべてを数式で表現する必要あり(柔軟性がなく、応用も利かない)
・ 課題の枠組みを決めないとうまく働かない(膨大な教師データや、目的・制約条件の設定が必要)
でも、人間が行う仕事の中には
・ 読解力(高度なコミュニケーション能力と理解力)
・ 常識
・ 柔軟性
・ 応用力
が必要とされるものもあり、これらはAIで肩代わりできないため、
これらの能力が必要な仕事ほど、代替されにくいと述べられていました。
資産税コンサルはカウンセラーでありコーディネーター
その上で、本郷会長の本を読むと(そして、自分が毎日やっている仕事を思い浮かべると)、代替されにくい仕事に必要な能力は、まさに資産税をあつかう税理士が得意としている分野。
法律や通達、裁決事例だけをもとに仕事を行っているわけではなく、立法趣旨や社会常識、家族関係、依頼者や依頼者の周囲の人たちの(ときには税務調査官の)感情も考慮しながら、スケジューリングを組み、タイミングを見計らいながら、着地点を考えています。
資産税は他の税の分野より、特に個別性が強く、感情的な要素を多く含みます。
カウンセラーやコーディネーターに近い仕事なので、よりAIに代替されにくいのではないでしょうか。
AIは「そのお客様にとっての幸せ」をアドバイスできない
数式で簡単に表せる「どうしたら得になるか」は、AIに任せた方が早くて正確です。
知識と計算機があればすぐに計算できるので、それを人間が行う必要性は低いし、ブラックな職場ももっと減ります。
でも、その計算結果をもとに「どうしたらその人が豊かで幸せな生活を送れる」かをお客様と一緒に考えることは、人間にしかできない仕事です。
何が豊かな生活か、何がその人にとって一番幸せなのかを判断するのは、AIには難しいはず。
これは税理士に限らず、消える職業リストに挙げられている他の職種についても同じだと思います。
「人の心に寄り添う仕事」は、AIには決してできない仕事です。
ひとりごと
本郷会長は、タクトから独立する税理士について、ご著書にこう書かれていました。
巣立つ「親鳥」たち
なかには、まだ「リーダー」としての実力が十分ではないと思える人もいましたが、それでも私は背中を押しました。
本人が「独立します!」と言うのであれば、所長としては「そうか、ガンバレ!」と言うしかありませんし、それに本人が強い気持ちで独立すると、意外と何とかやっていけるものだからです。
現在、タクトコンサルティングから独立した人材は70名を超え、彼らの手による資産税関係の本も多く出版されています。
OBたちの本がアマゾンのランキングで上位に入っていると本当に嬉しいものです。
実力が十分ではないと思える人の中には、私も含まれています。
でも本郷会長は「身近な人が亡くなった後の手続のすべて」を、かなりの冊数、買って下さり
「相続税申告以外の手続きを、自分でやりたい」とおっしゃるタクトのお客様に、自らプレゼントして下さっているそうです。
「自分でできる相続税申告」をお送りしたときも、すぐに「さすが福田さん!本づくりの達人です。売れます!読まれて使われます!」という励ましのお手紙を頂きました。
タクトで教わったことは、資産税の実務だけではありません。
他人の人生に、深く広く関わる仕事に携わっているということを、いつも肝に銘じています。