タワーマンションの評価はパブコメへ

相続・遺言・遺産分割

以前、ブログにも書いたやるなら自己責任で。タワーマンションを使った相続税対策

これに関し、税務雑誌の最新号に気になる記事がありました。

旬刊速報税理 2015 7/11号 P8
一方、気になるのは、”タワーマンション節税”に対する動き。高層マンションに居住するほど、その敷地の評価額に掛ける持分割合は下がり、相続税評価額が時価に比べて低くなるのを利用したものだが、高層マンションが林立する中、何らかの評価方法がパブリク・コメントにかけられる模様だ。

パブリック・コメント(意見募集手続)とは?

お役所が何かを定める前に、期間を定め、広く一般に(公=パブリックに)に意見を求める手続のこと。
会計分野のパブリックコメントは、私もたまに目にします。
とはいえ、あくまで「一応、意見を聞いただけよ」ということも多いようですが・・・(^_^;)

今はこんなものが募集中でした。
「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則等の一部を改正する内閣府令(案)」等の公表について

現在のマンションの相続税評価の方法は?

マンションは、建物部分と土地部分を別々に分けて、相続税評価額を求めます。
建物部分は「固定資産税評価額」、土地部分は「路線価×土地の面積×土地の持分」です。

中でも特にタワーマンションは、住宅の戸数が多い=一戸あたりの土地の持ち分が小さくなるため
土地部分の評価額がかなり低くなります。

この土地の持ち分は、マンションの専有部分の面積比。
よって、100戸すべてが同じ専有面積のマンションなら、1戸あたりの土地の持ち分は同じ100分の1ずつ。

ということは、販売価格(時価)が1階北向き7,000万円の物件と35階南向き1億円の物件は、
部屋の広さが同じなら、土地の持ち分は同じで、相続税評価額も「同額」になり、
時価と相続税評価額との差が大きい物件ほど、より節税効果が見込めます。

どうなる?どうする?

タワーマンションに限らず、上記のようなマンションの評価方法全体が改正される可能性もありますが、
すべてのマンションの時価を客観的に、かつ、相続税評価額>時価とならないよう
保守的な評価方法を定めることは難しいはず。 時価以上での課税は、財産権の侵害になるし・・・

となると、シチュエーションに応じて、評価方法を変える。
例えば、相続前又は贈与前3年以内に取得したマンションは、取得価額を相続税評価額と改正する、とか。

これなら、現状でも、未上場株式の相続税評価を行うときには、
その会社が、課税時期前3年以内に取得した土地建物は、
相続税評価額ではなく時価で評価することになっているため、税理士的にも分かりやすいです。

また、過去の国税不服審判所の裁決事例では、 タワマンの購入→相続→売却までの期間が短いケースで、
相続税評価額ではなく当初の購入価格で課税されているため、 売却がからむ場合に限り、制限を加えるか。

とはいえ、今、死ぬか(=相続)、それはムリでも贈与をすれば(=税負担を考慮するなら相続時精算課税で)
現状の評価方法が使えます。

相続税の節税目的で、積極的にお客様に販売してきた業者さんは、どんなアドバイスをするのかな?

-相続・遺言・遺産分割

関連記事

個人的には?だけど、使いたいなら結婚・子育て資金贈与特例のQ&Aは事前にチェック

今月、内閣府のHPに公表された、結婚・子育て資金一括贈与非課税特例のQ&Aを読んでいたところ 相続後の取扱いがスムーズに理解できない点がありました。 ●プロフィール ●個別カウンセリング

日本経済新聞コメント掲載『相続税、生命保険で負担減 非課税枠や保険料贈与を活用』

令和5年度の税制改正では、相続贈与の一体課税という大きな改正があったため 日本経済新聞でも「点検 相続節税」という連載がされています。 本日、2023年1月28日の朝刊 「相続税、生命保険で負担減 非 …

仮装隠ぺい・重加算税に注意 相続直前の現金引き出し

週刊T&Amaster NO.750(2018年8月6日号) 相続財産の仮想隠ぺいをめぐる最近の取消裁決事例 審判所、課税当局による重加算税を相次いで取り消す ●プロフィール ●個別カウンセリング

要件には注意。配偶者の税額軽減と小規模宅地等の特例

相続税が大幅に安くなる特例といえば 【 配偶者の税額軽減 】 配偶者は、相続した財産額が1億6,000万円または法定相続分までは、相続税がかからない 【 小規模宅地等の特例 】 自宅の土地を、 配偶者 …

医療法人の相続税の納税猶予、活用の検討も

今日は新宿にて、日本生命さんの講演でした。 税理士さんなどの保険代理店様と一般のお客様、合わせて100名ほどの参加者だったとのこと。 今年一番の猛暑の中、ご参加頂きありがとうございました。 また、昨日 …