知識や経験が豊富なら、必ずビジネス相手から信頼されるでしょうか。
「それだけではどうやら足りない・・・」仕事を続けていると、そんな壁にぶつかります。
意外にも、「茶道についてもっと知りたい」と読んだ『一億人の茶道教養講座』の中にヒントを見つけました。
「教養」には2つの種類がある
ビジネスをスムーズに行うには、相手との「信頼」関係を築くことが最初の一歩。
その際、相手に信頼してもらうには、「教養」の有無が大きなポイントになります。
ですが、学歴や資格、職業上の専門知識などの勉強としての教養のブラッシュアップに気を取られ、人のありようを左右する人格の基盤となる教養の方が置き去りになることがあります。
例えば、「勉強としての教養」の有無は、客観的な情報からある程度は分かります。ビジネス相手を選ぶなら、さらに得意分野や価格などで、ニーズに合う人を探すことになるでしょう。
でも、その中から最終的に誰を選ぶかになると、知識や経験の量や質という、「勉強としての教養」レベルに加え、「人としての」教養レベルが問われます。
人は、自分の教養の質を基準に考えるので、「人としての」教養レベルについても、当然、合わない人より合う人を好みます。税理士試験の受験生や就職活動中の学生さんも、仕事に就く際には「人として」の教養とは?という視点を持つことが欠かせません。
若い税理士は資産税を扱えない?
資産税を扱うには、富裕層、つまりお金持ちの気持ちが分からないとダメだと、よく言われます。
財産を多く持つ人の気持ち、多額の税金を納めている人の気持ち、という点に加え、通常の税理士業務より、「人として」という教養の質が問われる場面が増えるからでしょう。
(私がお茶を習い始めたのも、抹茶(薄茶)の正しい頂き方を知らず、恥ずかしい思いをしたからです)
本業でどんな仕事をし、どれほどの成果を上げたかだけではなく、人としての強さやしなやかさというか、お客様と深い信頼を築ける力、これが若い税理士には足りないというのなら、分かります。
でも、年を重ねた税理士なら、後者の力があるかどうか、それもまた微妙でしょう。若くても補える部分は余りあると思います。
1年ちょっとの茶道のお稽古から学んだこと
「数十年お稽古しても、まだまだ」というのがお茶の世界です。 でも、わずか1年ちょっとのお稽古でも、「細く長くでもいいから、お茶を続けたい」と思える出来事がたくさんありました。
・ 「お先にどうぞ」と言える、人と競わない心のゆとりが(少し)生まれた
・ 季節、お天気、匂い、湿度、雲、夜空などを、ゆっくり感じられる時間が増えた
・ 味覚に敏感になった
・ 人からほめられたとき、「とんでもない!私なんて」と変な謙遜をしすぎず、
ニコっと笑顔で「ありがとう。うれしい」と言えることの大切さを知った
・ 「いつかはこんな女性になりたい」という女性とたくさん知り合えた
普通の女性なら、全部当たり前のこと?
茶道そのものからはかけ離れた、とてもささいなことばかり。でも、私にとっては「人としての」教養レベルうんぬんがなくても、どれも大きな発見でした。
禅や建築、器や着物など、お茶の世界はあまりに広く、日本人が「人として」の教養を学ぶには最適の場です。私もこれから時間をかけて、少しずつ学ぶつもりです。