自分のことが好きになれない。
人との距離感の取り方が分からない。
そんな方は、「分人主義」の考え方を取り入れると、少し楽になります。
人は「個人」ではなく「分人」の集まり
「分人主義」とは
人間の基本単位を、「個人」ではなく「分人」の集まりだと考える概念です。
作家の平野啓一郎さんが
『私とは何かー「個人」から「分人」へ』で提案していました。
人の最小単位は「個人」。
英語だと「in/dividual」。これ以上/小さく分けられない、という意味です。
でも、分人主義は、人をもっと小さく分けられると考えます。
それが、in/dividualではなく「分人」=dividualです。
キャラも本当の自分
誰でも時と場合によって、相手に見せる顔が変わります。(変えますよね?)
シチュエーションが変われば、態度や人格、役回りが変わって当然です。
親としての顔、子としての顔、妻としての顔、
働くときの顔、趣味の場での顔、友人と会うときの顔、など。
分人主義は、そのどれがオモテ(ホント)で、どれがウラ(ウソ)とは考えません。
どの顔も、全部自分の「分人」であり「本当の自分」。
そして、自分は様々な「分人」の集合体。
そう考えます。
自分や他人を受け入れやすく
「分人主義」の良い点は、自分や他人を受け入れやすくなることです。
現状の自分をイヤだと思うと、つい「本当の自分」探しをしたくなり(←ワタシ)
苦手な人がいれば、相手との付き合い方や距離感に悩みます(←ワタシ)。
分人主義を取り入れて生活していると
「私はこういう人間」とか「あの人はこういう人」と、安易に決めつけなくなります。
「私、こういう【飽きっぽい】分人あるよね」とか
「あの人、たまに【時間にルーズな】分人だから困るな」という風に
人と課題とを分離でき、全否定しなくなるからです。
私はむしろ、徐々に「好きな」分人を増やしたい気持ちになり。
「自分のこういう【親切な】分人は好き」
「●●さんの【この大雑把すぎる】分人が好き」と、いろいろ浮かび楽しめます。
新生活は新しい分人を作るきっかけに
3~4月は、不安や悩みの増える季節です。
新しく出会う人とのコミュニケーションのとり方や、自分の進むべき道についてなど。
でも、自分の「分人」=「本当の自分」は、人との関係性の中で作られるのだから。
環境や役割、友人などが変わることで、自分の個性が育つと思えば
新生活も(歳を取るのも)悪くないと思えるかも。
私は父が転勤族だったため、新学期には転校生、ということも多く
どう立ち振る舞うか、子どもなりに迷った記憶があります。
『私とは何かー「個人」から「分人」へ』は、新書で薄く、読みやすいのでおススメです。
ひとりごと
もともとは、読書好きなお客様にすすめられ、
平野啓一郎さんの「マチネの終わりに」と「ある男」を読んだのが、きっかけでした。
長編ですが、こちらもおススメ。