金継ぎとは
金継ぎとは、欠けたり割れたりした器を「漆」で接着し
その部分を「金」で装飾する、室町時代から伝わる器の直し方です。
事務所近くの器やさんで開かれているお教室に、初めて参加しました。
小さいころから、図工や美術の成績はかなり残念な私。
なので、もちろん躊躇はしましたが
「割ってしまった器をどうすればよいか?」は、わが家が抱える大問題。
飲んべえ女性なら分かってもらえるかも、ですが
仕事を終えて自宅へダッシュし、晩ゴハンを作って晩酌してから器を洗うと
疲れ+酔いで手が滑り・・・
ガシャン!とかパリーン!とまではいかなくても
カツンと蛇口に器が当たり、「あっ!!(号泣)」ということは日常茶飯事。
食洗機を使えば被害は最小限で済みますが
清水焼や漆器は手洗いしたいため、大切な器ほど逆に割ってしまうリスクが高いのです。
初金継ぎ教室では
という訳で、そうやって小さな欠けが生じた器を、初金継ぎには持参。
本漆を使って繕う方法は、漆が乾くのに数か月かかり難易度が高くなります。
よって初心者は、エポシキパテ(新漆)という速乾性のあるパテで欠けた部分を修復し
一心不乱にやすりをかけて表面をならし
透明漆と真ちゅう粉、薄め液を混ぜたものを筆にとり
修復した部分の上にポッテリ置けば・・・出来上がり~
外側からは金が見えますが
内側からはあまり見えません。
お茶のお稽古友達は、お茶の先生から頼まれた桃色の楽の筒茶碗を数か月かけて修復中。
まっぷたつに割れているため、かなり難しそうでした。
新品の器より大切にしたくなる理由
繕い終えた器を箱に入れ、日傘もささず両手で箱を抱きかかえて帰宅。
その後もしばらく、繕った器を手にニマニマ。
そんな自分の「器に対する気持ち」を数値化すると
・ 買ったばかりの器 100
・ 既に食器棚にある器 80
・ 欠けてしまった器 (欠けやにゅう(ヒビ)の程度とはいえ) 5~20
だったのに、自分が金継ぎして繕った器は120くらいに感じるのが不思議です。
でもこれって、器だけじゃないのかな?
私は、過ぎたことや自分の努力ではどうしようもないことを、ウジウジ悩むのが苦手。
今までは、何でも自分の手で潔くケリをつけることに重きを置いていました。
「繕う(つくろう)」というと、「取り繕う」のように
「その場をうまくごまかす」とか「外見だけ飾る」のように、あまりいい意味には聞こえません。
でもこんなに小さな器でさえ、割れても捨てずに繕えば
むしろ前とは違った景色が見え、割れ目が時を重ねた証にも思えます。
物以外、例えば「夫婦」の関係や「会社(の社長や上司、同僚など)」との関係も
ヒビや欠けは簡単に入るけれど、手間と時間をかけて繕えば
きっと違う関係性が築け、景色が変わったのでしょう。
もちろん粉々に割れれば修復は不可能ですが、何でも切捨御免!だったのも・・・ と反省しました。
先生方が金継ぎするとこんなに素敵になりますので、私も月に1回、通い続けてみます。
飲み口が欠けたグラス→金継ぎをした上に、さらにブドウのグラスマーカーをオン、とか
破片がない部分をガラスで継いだ「呼継ぎ」とか
半分ずつ割れたものを継いでセットにする、とか
ここまでいくと、芸術品です。