あなたの相談相手は、相続税が「目的」?それとも「手段」?

相続・遺言・遺産分割

バード財産コンサルタンツの山浦先生が発行している「バードレポート」を、タクト時代から購読しています。
不動産系の情報が多く、FAX1枚のため、ササッと読めて便利です。

P1010577

最近発行された、「来年の相続税増税と相続税対策ビジネスで起きること」という号では
相続税が約500万円かかりそうだと聞き、 5,000万円借金して賃貸併用住宅を建築したという
NHKニュース「相続税節税ビジネス過熱」で紹介された方に対する
山浦先生のご意見が書かれていました(番組は、私もみました)。

お客様にとって、相続税はもちろん目的
できれば払いたくない。減ればうれしい。ゼロになればなおうれしい。

とはいえ、ご本人やご家族の第一の目的が、「節税」という方は少ないでしょうから
(特に、基礎控除額の引下げにより、相続税の対象となる程度の資産額しか持たない層では)
専門家なら、相続税だけではなく、ご本人やご家族の、生前や老後の全体像を考慮した
アドバイスが欠かせません。

でも、「相続税の増税迫る! 対策しないと!!」 と言う専門家のうち
相続税の増税が単なる手段である人は、そんなことまで考える、必要も義務もありません。

「自社の商品を売る」「自社のサービスを使わせる」のが第一の目的なのですから、当然です。

「来年から相続税が増税で、さぞお忙しいでしょう」と人に言われても、なぜかずっとイヤな気持ちがしていて
なぜそう感じるのか、自分でも理由が説明できなかったのですが
「そうか。私にとって相続税は、目的であり手段じゃないからだ・・・」と、やっと腑に落ちました。

周囲には、私と同じような感覚の税理士が多いです。 税金の専門家ですから、それが自然なことです。

でも、中には相続税の増税を手段だと考える同業者もいて、 そういう専門家のための媒体
(税理士自身がお金を払い、相続専門税理士を集めた、雑誌や書籍、サイトやその他へ露出)への
お誘いが私にもよくあり、正直、辟易しています。

子や孫への安易な生前贈与は、兄弟間の公平を害し、トラブルのもとになります。
安易な不動産投資や建設は、財産の分割しやすさを害します。
養子縁組をすれば、親子や兄弟としての義務や責任、関係も生じます。
あと何年生きるのか考え、死ぬときに残ると見込まれる財産額で相続税を試算しましょう。
高齢期のライフプランやマネープラン、認知症になってからの財産管理への備えも忘れずに♪

国税庁のHP上には
相続税のあらまし相続税の申告要否の簡易判定シートが公表されました。
来年の4月頃には、相続財産が基礎控除額を超えるかどうか、一般の人でも判断できる
簡易な計算システムが、HPに掲載されるそうです。

以上、一税理士のひとりごとでした (*^_^*)

**********

久しぶりに、六本木の国立新美術館へ。 チューリヒ美術館展と日展の洋画をゆっくり見て回ったら
外反母趾の足が痛くなり、最上階のポール・ボキューズで一休み。

ランチはともかく、夜はゆるゆるな雰囲気です。
日曜の夜はさらにゆったりで、ワインと一緒に、チューリッヒにちなんだスイスチョコを頂きました。

-相続・遺言・遺産分割

関連記事

遺留分を侵害されたら「遺産」ではなく「お金」をもらえることに

雑誌記事掲載のお知らせがあります。 目次1 かんぽ生命 かんぽプラチナライフサービス 取材記事掲載2 週刊東洋経済 取材記事掲載2.1 遺留分として返すものが「現物」から「キャッシュ」に2.2 持戻し …

マンション敷地への小規模宅地等の特例適用

今日は、コープ生協さんでの講演でした。 コープさんには今年2月にもお邪魔していて、今回はその続編を、というご依頼があり 「小規模宅地等の特例」「生前贈与(主に特別受益、つまり遺産分割への影響)」「相続 …

相続税理士50選に載るか・載らないか?

今朝の新聞に「相続税理士50選」というものが掲載されていました。 ここに載るか載らないか。 税理士なら、どちらの選択肢も選べます。 どちらを選ぶかは、税理士ごとの働き方の違いであり、かつ、生き方の違い …

生前贈与の遺産への持戻し、10年限定になったのは遺留分侵害額の算定だけ。相続分は違います

週刊朝日2019年11月8日号 「きょうだい格差が招く相続トラブル」に取材協力・コメントしています。 兄弟格差は、相続争いの永遠のテーマですが 「過去どのくらい前までの生前贈与を、親からの遺産の先取り …

配偶者の税額軽減、「1億6,000万円以下なら非課税」ではない

本の読者から、「配偶者の税額軽減」について、立て続けに同じ質問を受けました。 「申告書の記載例で、配偶者に相続税が生じている。これは間違いではないか?」というものです。   目次1 本ではど …