コロナを経て、相続税の税務調査もいろいろと変化しています。
近年の税務調査状況のデータと
調査当日の進め方の変化についてまとめてみました。
コロナ前、相続税の税務調査対象に選ばれる割合
コロナ前、
相続税の申告書を提出した後、税務調査の対象に選ばれる確率は
10人に1人くらいの割合でした。
ただ、この割合を遺産額別にみてみると
遺産3~5億円なら、3人に1人
5億円以上なら、2人に1人
くらい(東京国税局管内の場合)でしたので
税理士は
「まあ、遺産3億円を超えたら、税務署が見にくることもあるよね」
というイメージで、お客様にも心構えを伝えていたと思います。
コロナ禍で調査は減っている
この割合は、コロナ禍で大きく減っています。
相続税の税務調査は
早くても亡くなった年の「翌年」、ほとんどの場合は「翌々年」になりますが
直近のデータをみると
コロナが始まった令和2年の実地調査件数は
その対象となっている、平成30年に相続税申告をした方の4.4%(※)にすぎず
平成30年の実地調査割合の11.8%、令和1年の9.5%に比べて
半分以下と大幅に減っています。
(※)令和2年③実地調査件数:5,106件/平成30年②申告件数:116,341件=4.38…%
調査当日の進め方はどう変わった?
また、調査対象に選ばれる確率だけではなく、調査当日の流れもだいぶ変わりました。
私の体験談や友人から聞いた範囲なので、事案によって違うと思いますが
以前は、相続税の現地調査は最低丸1日はかかり
10時税務署来訪~12時まで→お昼休み→13時再開~17時終了、というケースがほとんどでした。
ただ、私が先日立ち会った調査では、超富裕層の方でしたが
・ 被相続人・相続人の出生~死亡(今)までのライフストーリーを聞く時間が大幅に減少
(以前は午前中いっぱいかかってた)
・ お昼休みの前に、今回税務署が調査で確認したい論点の指摘があった
(以前は指摘は夕方以降。
当日のやりとりを通じた税務署と納税者&税理士間のかけ引きもあるので)
・ 印影確認(自宅にある印鑑全部をひとつずつ紙に押していく)はなし
・ 自宅貸金庫の確認もなし
・ 相続人と税理士が同行しての貸金庫確認は、一部の相続人の一部の銀行のみ
・ 14時過ぎに税務調査終了
でした。
コロナは第7波の感染が拡大していますし
相続税の税務調査は、対象者が高齢で場所も個人の自宅という特殊性もあるので
法人税や消費税より、特別な配慮がされているのかもしれません。
でも、コロナが終わっても
基本的に正しく申告していることが見込まれる納税者に対しては
コロナ禍のこの調査手法が継続し
税務調査がもっと効率的に行われるようになるといいな、と思っています。
おわりに
以上、コロナを経た相続税の税務調査の変化についてでした。
先週末は数年ぶりに大阪に行きましたが
御堂筋線以外はよく分からず、猛暑の中、右往左往しました。
が、面白い看板も。
日日是好日(にちにちこれこうじつ)ではなく、日日是肉日。
シンプルで分かりやすい店名ですね。