セミナー講師の役割は、聞き手の「点を線にすること」だと思っています。
点をつなげて線にしてもらうために、話す
先日セミナー講師をし、後日参加者の方から
「点と点で理解していた、相続の表面的なポイントが
線になってつながり、理解が深まりました」
と言われ、すごーくホッとしました。
3月は時期的に、話す準備まではできなかったこともありますが
何より、セミナー講師の役割は
聞き手の点を、線にすることだと思っているからです。
線で理解することが必要な理由
なぜ、線=ストーリーで理解してほしいか。
それは、聞き手の方に
できれば学ぶだけじゃなく、実際に動いてもらいたいから。
FPさんなら
既にお持ちの、法や税の知識をつなげ
相談、執筆、講演といった実務に活かしてもらうこと。
一般の方なら
なんとなくの不安や、ネットや本で知った情報を
大事な順に整理し、実際に備えはじめてもらうこと。
特に、一般論とか流行りとか、売り手側の論理じゃなく
自分にあった形で実践するには
断片的な知識ではなく、ストーリーで理解していた方が
迷ったときに
「あれ?そもそも、何のためだったっけ?」と、立ち返りやすいと思います。
今回の相続セミナーでは
たとえば、今回の相続セミナーの内容は
「生前贈与・遺言」と「不動産」の2本柱でしたが
法令通達ベースじゃ全然足りない、不動産の話に多めの時間を割きました。
たとえば
・配偶者居住権
立法趣旨は、最高裁決定(非嫡出子の取り分、実子の半分は違憲)をきっかけとした
妻の取り分確保
ただ実務上は、節税や後継ぎ遺贈型受益者連続信託的な活用が主
・生計一親族
所得税通達援用だが
所得税上と相続税(小規模宅地等特例)上の扱いにズレがある理由
・親族への賃貸借 or 使用貸借
どちらで貸すかのメリット・デメリット
取り分への影響と税への影響、適正賃料の考え方
・総則6項による否認
路線価が時価より低い理由、報道事例の問題点
3月の口頭弁論後、4月の最高裁判決後に予想されること
など
こういう制度です、適用要件はこうです、ではなく
なぜ、こういう制度ができたか
なぜ、こういう適用要件なのか
それを踏まえると、法令、通達には書かれてないけれど、実務上はどう判断するか
節税にはなるが、反面、このデメリットをどうとらえるか
など、迷ったときに立ち返りやすいよう、構成を工夫しました。
まとめ
以上、セミナー講師として話すときは
聞き手の点を線にしたい、と考えていることについて書きました。
話し手側の立場だと、途中で
「あれ?この項目、伝わりにくいかな?」と思ったとき
線に戻れば、自分の混乱が最小限で済むというメリットもあります…