年末に公表された、平成27年度の税制改正大綱は、資産税の論点が盛りだくさん。
なんじゃこりゃ?という改正も多く、
読むだけでお正月から具合が悪くなりそうでしたが、それはさておき
お客様への影響が特に大きそうなのが
従来の財産債務明細書が見直され、新たに財産債務調書となる改正です。
ざっくり言えば
「稼いでる人は、稼ぎに加え、持ってる財産も国に教えてね(罰則なし)」 という制度から
「稼いで、財産も持ってるなら、ちゃんと教えろ!(アメとムチあり)」 という制度へ変わります。
※2015年1月21日追記あり
※京都 俵屋旅館 お正月の餅花飾り
(参考)従来の「財産債務明細書」
対象者
所得税の確定申告義務がある人のうち、年間の所得が2000万円を超える人
明細書への記載事項
12月31日に保有している財産・債務の種類や時価
提出時期・提出先
所得税の確定申告書を提出するとき、税務署へ
説明
提出すべきかは「所得=稼ぎ」で判断し、しかも
源泉分離課税されている株の売却益や、申告不要である株の配当、退職金は 所得に含めません。
なので、かなりの株持ち・土地持ちの資産家でも、稼ぎがなければ提出しなくてOKでした。
さらに、罰則規定もなかったため、フツーの税理士なら
「一応、ざっくり書いて、出した方がいいですね」程度のアドバイスだったと思います。
ただそれじゃ、国は教えてもらえないに決まってるジャ~ン、ということで
「明細書」が「調書」になり
罰則はないとはいえ、調書提出の有無により、
将来課される加算税が加重・軽減されるという、アメとムチのおまけがつきます。
※加算税の加重・軽減については、「国外財産調書」と同じ取扱いになるようです。
新「財産債務調書」
H28年1月1日以後提出分(=H27年分の確定申告)から、対象者の範囲が狭まり
稼いでいて、さらに財産持ちの人だけが対象者になります。
対象者
1. 年間の所得が2000万円を超える人
のうち
2. 年末に保有する総資産が時価3億円以上の人
3. 年末に保有する有価証券等が時価1億円以上の人
のどちらかに該当する人
対象者の範囲についての説明
対象者の範囲は、税理士の中で議論が分かれていました。
(※大綱には「現行の提出基準である1.に加え、2.または3.を提出基準とする」と書かれていたため)
そのため、1/21に税理士の今中清先生のお話を伺った際
先生の講演レジュメにも
対象者は「1~3のいずれか」(つまり、対象者の範囲が広がる)という記載がされていましたが
それを口頭で修正され
「現状は、対象者が36万人いるのに、実際の提出者は16万人しかいないので
対象者を減らす代わりに、必ず出しなさいという改正だと確認できました」とおっしゃっていました。
なので、対象者は「1かつ2」「1かつ3」の人、つまり
・所得が2000万円超、かつ、総資産3億円以上
・所得が2000万円超、かつ、有価証券等1億円以上
に該当する人だけになります。
税理士は、お客様の所得が2000万円を超えたら、保有資産の詳細な確認が必要になりますね。